クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

事前打ちあわせで初めて平野さんと会ったときに聞いた話。


緊張するわたしたちをほぐそうとしてくれたんだと思う。


最初は『なんで怖い話⁉︎』って耳を塞ぎたくなったけれど、続きの話を聞いて心がほっこりした。


自分が実際に心を掌握された話なら、相手の心もゆさぶることができるんじゃないかと思ってこの話を選んだ。



「ムカつくわ」


ふと、妃崎先輩がつぶやく。


「え?」

「口が達者なようね。ほんとムカつくくらい嫌味だわ」


ギリッと歯を噛むように感情をぶつけてきた。


「えっと……ごめんなさ」

「なに言われてるかわかんないでしょ。簡単に謝らないでくれる?自分の立場をわかっていないなら、さっさと学校をやめてちょうだい」


妃崎先輩は一方的に吐き捨ててロッジを出ていった。


先輩たちを怖がらせて追いだしたことに怒っているのかと思ったけれど、どうやら違うみたい。


立場って……総長としてのってことかな?

不安にさせてしまっているんだろうか……。


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