クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

「どこ行く?」


ロッジを出ようとしたわたし。

斑に腕をつかまれて引きとめられた。


「戻らないと」

「働きすぎ。すこし休め」

「えっ?……ちょっ」



そのまま引っぱられて、中二階に放りこまれた。


救護所という名目なので、ロッジの中二階には一応、布団が敷いてある。


そこになぜか寝かされて。


「あの、えっと……斑?」


なぜか斑も横になって、わたしを抱き枕のように包みこむ。


転校初日にもこんなことがあったけれど、あのときは布団ごしだった。


でも今は、わたしたちの間に隔てるものはない。直接体温が伝わってくる。


ドキドキ、する……のに。


今はこの鼓動に包まれていたい。


あのときはすぐに腕から這いでようとしたけど、今はそんな気力ない。力が湧かない。


いろいろあったからかな。


今日だけじゃなくて、転校してからずっと目まぐるしい日々を過ごしてる。


いろいろありすぎた……。


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