クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
妃崎先輩、てっきりグループに戻ったのかと思ってた。
チャレンジスタンプラリー中はテントが遠足委員の本部になってるし、ロッジにはわたしたちがいた。ほかに暇を潰せそうな場所なんてない。
どこ行っちゃったんだろう。
歩道があるとはいえ、木ばかりの山の中。
少しでも道を外れたら、そんな連なる木々や草の中を探しまわらないといけない。
故意に隠れでもしないかぎり簡単には見つけられなさそう……。
「苫っ!」
突然、そんな叫び声とともに後ろから抱きとめられた。
気づけば目の前にむき出しの木の枝が……!
遠くを見ながらキョロキョロしていたから気づかなった。斑に止められていなかったら、顔面をこすってた。
想像しただけでゾワッと身の毛がよだつ。
「あ、ありがとう……」
「……早く探そう。騒ぎになる」
「うん……」
そうだよ、こんなことでドキドキしてる場合じゃない。
故意に隠れてるならまだいい。
もし妃崎先輩の身になにか起きていたら……。