クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
再び探そうとした、そのとき。
「だれか、いるの……?」
草むらからたどたどしい声が聞こえてきた。
覗くと、そこにいたのは……。
「妃崎先輩!大丈夫ですか?」
へたり込むように地面にお尻をつける妃崎先輩。
頬にはすり傷があって、足首を手で押さえている。
「なんであなたに見つかるかな……」
わたしを見るなり眉根を寄せた。
「そんなこと言ってる場合じゃ……。足くじいたんですか?」
「……くじいてないわよ」
褒め称えたいほどの意地の強さ。
強がったって仕方ないのに。
……えいっ!
「いった!なにすんのよ!」
足首を軽くつつけば、妃崎先輩は痛みに声を荒げた。
「やっぱりくじいてるじゃないですか!とりあえず冷やすものと人手を……」
「やめてッ!」
立ちあがろうとしたら、妃崎先輩に止められた。
「あなたの世話になんかなったら立場がないじゃない。自分で立てるわよ」
意地でもわたしの手を借りたくないらしい。妃崎先輩は自分1人の力で立とうと片足をつく。