クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

わたしのその覚悟にだれよりも早く反応を示したのは、佐紺先輩だった。


……しかも。


「いいんじゃねーか」


意外にも肯定の言葉をくれた。

てっきり笑われるか否定されると思ったのに……。


「はぁ……。ほんっと、あなたってお人好しよね」


呆れる妃崎先輩。


「お人好し?」

「あぁ、あなたのことじゃないから。このバカのこと」


バカと言って佐紺先輩の頭をぽかりと叩く。


バカって……佐紺先輩のこと?

佐紺先輩がお人好し?

どういう意味だろう……。


「ッて。おい落とすぞ」

「この男は、もとからあなたを追いだすつもりなんてなかったのよ」


佐紺先輩を無視して妃崎先輩が言葉を紡ぐ。



「西組はほかの組に比べて弱いの。人数少ないし向上心ないし、チームに貢献しようって気持ちも薄っぺらい。それなのに総長が変わって……しかも次の総長が女。もしかしたら崩壊もあり得る。佐紺は、あなたについていくだけの価値があるのか、それを見極めたかっただけなのよ」



ついていく価値?

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