クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「俺はだれが総長になろうが構わない。女だろうと」
佐紺先輩が妃崎先輩の話を奪うようにつぶやいた。
「別に総長じゃなくたって、西組を守る方法はいくらでもあるからな。ただ、同じ組織の中で2つ以上の勢力があれば必ず争いになる。それは避けたかった。だから、新しい総長がついていく価値のある人間なら俺はそいつに従うと決めた」
「もし、価値がなかったら……?」
「別の方法で西組を守るだけだ。退学は、見極めるためだけに出したハッタリだしな」
「私やほかのみんなは本気だったけどね」
妃崎先輩がふんと鼻を鳴らすように怖いひと言を挟んだ。
本気だったんだ……。
「支えてやるよ。おまえが責任を取らないで済むよう、俺が……」
佐紺先輩はそこまで言って斑を見る。
ふっと笑みをこぼした。
「いや、俺“も”かな」
そう言って歩いていった。