クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
高校2年生の春、全国的に珍しいボレロタイプの制服を身にまとって学校の門をくぐった。
「うぅ……緊張する……」
「なんで?」
内臓が飛びでそうなほどの緊張を素直に口にすれば、となりを歩く斑が不思議そうに聞き返してきた。
「新しい場所って緊張するじゃん。ちゃんと馴染めるかなとか……」
「大丈夫だろ。クラスの顔ぶれは見慣れたやつばっかだし」
黒刃高校への進学率は、9割が黒刃市内の中学校からだと言われている。
だから、クラスに中学時代もしくは小学校時代の友だちがいる可能性は高い。
それは重々承知なんだけど……。
「斑と同じクラスだったら安心なのに」
ついそんな弱音を吐いてしまう。
「無理だろ」
「……わかってるよ」
学年が違うから斑とは絶対に同じクラスになれない。
わかりきった事実だとしても、そうあっさり否定されるとさみしいです。
生まれは1ヶ月しか違わないのにな。