クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
こつん。斑の胸にぶつかる。
見上げれば、すぐそこに斑の顔があった。
降りそそがれる視線。
ドキッと一度、心臓が大きく弾けたのは言うまでもなくて。
弾けた鼓動が、ドクンドクンと息を取りもどすように騒ぎはじめる。
ち、ちかい……。
「俺、怒らないけど、嫉妬はするから」
「……ぇ?」
距離そのままに斑が口を開いた。
わたしから漏れるのはすっとんきょうな声。
正しくいうと、斑は怒らないというより、わたしの前では怒らないようにしてるだけ。
出会ったばかりの頃の斑は、いつもむすっとしていてイライラしてた。
『俺に関わるな』が口癖だったくらい。
でも、わたしが怖い思いをしたことがあって、その原因が斑だったこともあり、それ以来わたしの前ではそういう態度を取らなくなった。
……けど。
嫉妬ってどういうこと?
「ひゃ……っへ?」
「アホ」
わたしは相当なアホづらをしてたらしい。
頬をつねられた。