クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

ニシノハナヒメ?


……ってどんな賞品だろ?


にし、の、はなひ……め?



……って。


「わたし⁉︎」



すっかり部外者のような気分でいた。


賞品がなんだとか正直どうでもよくて。

とりあえず話の展開を見守っていた。


だから、幾度となく呼ばれた自分の異名をいきなり出されても、すぐには理解できなかった。



「知ってるぜ、てめぇのあだ名の由来」


ようやくこっちを見た紫藤先輩。



「西ヶ浜組は代々、親族が跡を継いでる。だが、今の西ヶ浜組の組長には子どもがいない。親族は孫のてめぇだけだ。つまり、てめぇをモノにすりゃ自動的に西ヶ浜組も手に入れられるってわけだ」



わたしは、無意識に握りこぶしを作っていた。


そのせいで手錠をゆらしてしまったけれど、気にしている余裕はなかった。

< 163 / 217 >

この作品をシェア

pagetop