クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

「ちっ……」

「つまんなー」


納得はしてないみたいだけど、不服を唱える様子もなかった。


なんとか回避できてよかった……。


と息をつく、その直後のことだった。



「まぁまぁ、そう結論づけるのは早計なんじゃない?」


斑とは打ってかわって、物腰やわらかい声が切りこんできた。


やっぱり表情も斑と違って、やさしげで親しみがある。

キレイな顔の王子さま、亜白先輩。


みんなの表情を確認しながら話を続ける。


「たしかに紫藤の提案は荒唐無稽だと思うよ。ヤクザさんたちが狙ってるものを俺たちが簡単に手に入れられるとは思えないし、佐紺の言うとおり西組の組長さんが黙ってるとも思えない」


うーん、どうだろう。

わたしには、おじいちゃんがそれで口を挟んでくるとは思えない。


だって、西の花姫問題はすべて斑に任せているから。


「嫁ってのはさすがに突拍子もないから、たとえば1日デート権が与えられるとか、1ヶ月ためしにつき合ってみるとか。それくらいならどうかな?」


いやです、って心の中ではピシャリと拒否できるんだけど……。

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