クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

みんな亜白先輩の話の続きを待っていて、声に出して言えない。


「正直さ、それくらいして盛りあげてもらわないと、うちとしては張りあいがないんだよね。5年連続、最優秀作品賞を取ってる南組としてはね」


「あ?ケンカ売ってんのか?」


「別に。本当のこと言っただけ。西組だって、盛りあがるなにかがないとこのままずっと負け越すよ?5年間、取った賞といえば新人賞だけ、だったよね」


ね、と言って、亜白先輩が佐紺先輩を見る。


佐紺先輩は、


「心配してもらわなくてもけっこう」


それ以上の言い返す言葉が見当たらないようだった。


「それに」と、今度は斑に視線を移した亜白先輩。


「ここで断ったところで、今後もこういう提案がなされるよ?ならここで呑んで、勝って二度とそういう提案させないほうが得策じゃない?」


もうこの場は彼に支配されている。


穏やかに話が進んでいるようで、その先に待ってるのはきっと彼の思い描く展開。


斑がここで了承したら、本当に手のひらの上だ……。


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