クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「……わかった」
斑はすこし考えこんだあと、そう静かに答えをこぼした。
にやり。亜白先輩が笑う。
斑がそう言うならわたしは従う。腹をくくる。
黒刃高校に転校してきて、すでに何度も賭けをしてきた。
なんとか勝てているけれど、勝ちが確定してる賭けはなくて受けるたびに不安で仕方なかった。
これで最後にできるならそうしたい。
「その代わり、こっちからも提案がある」
斑が言う。
「うん、なにかな?」
「西組が勝ったら、おまえら全員総長の座を下りろ」
その瞬間、亜白先輩の表情がピキッと固まった。
亜白先輩だけじゃない。
紫藤先輩もクリスくんも呆然として動きをとめた。
「こっちは総長と花姫をかけてんだ。おまえらもそれくらいのリスク負えよ。じゃないと、つり合いが取れねぇ」
始まって5分も経っていない会議。
ここまで何回か空気がピリついた。
だけど、今この瞬間が、もっともピリピリしている。
わたしが当事者。
みんな、わたしのことを話してる。
でも、もうすべてを放り投げて逃げだしたい気分……。