クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
手錠が外れるとき
「はあぁぁぁぁあああ?」
開口一番、りらが信じられないほど大きな声を発する。
「なんでそんなことになってんの?」
「ごめん。その……流れで」
会議のことを稽古中のみんなに話したら、ご覧のとおり驚かれた。
「ねぇごめん。りら、これほど殺意が湧いたことないんだけど。今すぐあいつらヤっちゃっていい?」
「こればかりは、あたしもりらの意見に賛成だわ。いくらかっこいいからって……かっこいいからって、うちらの苫を」
ハルルさん?なんか顔がにやけちゃってますよ。
ちょっと羨ましいとか思ってません?
「西ヶ浜さん、いいんですか?もし負けたら……」
「仕方ないよ。負けたら……そのとき考える」
まるで自分のことのように神妙な面持ちをする八巻くん。
まるでっていうか、ほんとに自分のことのよう……。
わたしもさっきまでこんな表情をしていたのかな。
「なに弱気になってるのよ」
「妃崎先輩……」
「らしくないわね。最優秀作品賞を取ればいいんでしょ。取ってやろうじゃない。取ってあいつら全員、総長から引きずり下ろしてやるわよ」