クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

手錠が外れるとき


「はあぁぁぁぁあああ?」


開口一番、りらが信じられないほど大きな声を発する。


「なんでそんなことになってんの?」

「ごめん。その……流れで」


会議のことを稽古中のみんなに話したら、ご覧のとおり驚かれた。


「ねぇごめん。りら、これほど殺意が湧いたことないんだけど。今すぐあいつらヤっちゃっていい?」

「こればかりは、あたしもりらの意見に賛成だわ。いくらかっこいいからって……かっこいいからって、うちらの苫を」


ハルルさん?なんか顔がにやけちゃってますよ。

ちょっと羨ましいとか思ってません?


「西ヶ浜さん、いいんですか?もし負けたら……」

「仕方ないよ。負けたら……そのとき考える」


まるで自分のことのように神妙な面持ちをする八巻くん。


まるでっていうか、ほんとに自分のことのよう……。


わたしもさっきまでこんな表情をしていたのかな。


「なに弱気になってるのよ」

「妃崎先輩……」

「らしくないわね。最優秀作品賞を取ればいいんでしょ。取ってやろうじゃない。取ってあいつら全員、総長から引きずり下ろしてやるわよ」

< 172 / 217 >

この作品をシェア

pagetop