クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「黒桜先輩をあんな間近で見れるとは思わなかったなぁ」
斑と別れて教室へ向かう途中、ハルルがつぶやいた。
一緒に教室まで行くか聞いたら、「俺はいい」とさっさと行ってしまった斑。
女子にまざるのが気まずい……なんてタマじゃないから、単純に『わたしを学校まで送り届ける』という任務を終えて満足しただけだと思う。
「めっちゃかっこよかったわ〜」
うっとりした表情を見せるハルル。
そういえばハルルってイケメン好きだったっけ。
かっこいいものに目がない、って小学生らしからぬ発言をしていた気がする。
昔の話だけど、どうやら今でも変わらないみたい。
「ねぇ!苫は黒桜先輩とどういう関係なの?」
突然、目力強くハルルが迫ってきた。
わたしは思わずたじろぐ。
……ハルルは、わたしと斑の関係を知らないんだっけ?
りらは斑が用心棒になった経緯を知ってるはずだけど……そっか。
ハルルは小学校時代の友だち。そのときのことを知らないんだ。
だって、わたしと斑の出会いは中学生のときだから。