クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
幕の向こうから拍手が聞こえる。
あーあ、終わっちゃったんだ……って、始まる前はそんな終わり方を想像していた。
なのに、実際は終わった実感がなくて、本番中よりも胸の鼓動がはやい。
これから幕が上がるんじゃないかって勘違いしそうになる。
「ちょっとなに?どういうこと!?」
「した!?マジでした!?」
興奮冷めやらぬ西組のみんながかけ寄ってきて、わたしを離す斑。
仕かけた側だから当然だけど、平然としていらっしゃる……。
「苫、どういうこと!?示しあわせてたの?」
「え……いや、わたしもよく……」
わからないんだけど……。
なんで?という意味を込めて、斑を見た。
でも目は見れなくて、ちらっと確認する程度。
わたしたちを囲うみんなはじっと斑を見ている。
みんなが見守る中、斑が口を開いた。
「こっちのほうが盛りあがると思って。それに……チャンスだと思ったから」
……チャンス?
「もっと早くからこうしていればよかった。……苫」
「は、はい……!」
「俺を苫の彼氏にして」