クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
りらが『どうせ喧嘩でしょ』と言った意味がわかった。
実際に手を出しての殴りあいはしていないけれど、今にも始まりそうな……そんな雰囲気。
荒野に吹き荒れる風。コロコロ転がるタンブルウィード。そんな景色が背景に見えるような気がする中、赤髪の男子が口を開いた。
「しどーさん、どーも。うちのモンが迷惑かけたみたいっすね」
余裕そうな笑みを見せる。
「ちげーよ、クリスっ!そっちが急に因縁つけてきやがったんだよ」
すかさず口を挟んだのは、『クリス』と呼ばれた赤髪男子の一歩後ろに立っていた、金髪ピアスの男の子。
迷惑とか因縁とか気になる言葉が出たけど、それより……クリス?まるで外国人の名前みたい。
日本人にしか見えないのに……。
クォーターとかなのかな。
「へぇ、そーなんだ。じゃあ悪いのはそっちっすね」
クリスサンは相変わらず笑みを浮かべていて、声のトーンが落ちてもそうなんだから逆に怖い。