クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

名前を呼ばれたと思い、ふり返ろうとして……ふと。


あれ?そういえば、どうしてこの人、わたしの名前を知ってるんだろう?


校則でネームプレートをつけなきゃいけない決まりがあるらしいけど、新学期初日の今日は、このあとのホームルームで配られる予定。

だからまだネームプレートをつけていない。


知りあいでもないかぎり、わたしがだれかなんてわからないはず。

こんなキレイな美男子の知りあい、わたしにはいないけど……。



「てめぇが“西の花姫”かっ!」

「っ、⁉︎」


な、なに……⁉︎くるしっ……。


突然、しどーさんがわたしの胸ぐらをつかんできた。


かっと瞳孔を開き、眉間にしわを寄せ、ただでさえ鋭い顔つきがさらに鋭敏になった。

凶器的なほどの怒りがにじみ出ている。


「ちょ、ちょっと!なにするんですか!」


ハルルがしどーさんの手を引き離そうとしてくれるけど、彼はものともせず、それどころかさらにぐっと力を込めた。

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