クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「佐紺、連れてきたぞ」
「……」
ソファーに足を組んで座る佐紺先輩。ギロリとわたしを睨みつける。
「は、はじめまして……!西ヶ浜苫です」
とりあえずあいさつ大事。
平穏な学校生活を送るために、なるべく印象はよくしておいたほうがいい気がする。
「西ヶ浜……。西ヶ浜組組長の孫、“西の花姫”ってのはおまえで間違いないな」
「は、はい……一応」
自分から『西の花姫』を名乗ったことはないけれど、組長の孫であるのは間違いない。
頷くと、佐紺先輩は足を組みなおした。
まるでここから本題に入るみたいな仕草。
「初めに言っておく。俺はおまえを認めていない」
えっ……その前置きで本題に入るの?
それ絶対聞いて楽しい内容じゃないですよね……。
「俺だけじゃない。ここにいる全員だ」
不意に。ほんとに、ふっと突然、ひらめきが降りてくるように、さっきの会話が脳裏をよぎった。
──もしそんな人に敵意を向けられでもしたら……そいつはおしまいだな。ぶっ殺されっかもよ。
佐紺先輩から向けられているのは、明らかに敵意だ。