クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
第2章「西組の遠足」
覚悟を決める
「おいヤマキ」
「は、はい……!」
佐紺先輩に呼ばれて、男子生徒が前に出てきた。
『西組2年』の『八巻』くん。
同級生だけどAクラスにはいないから、たぶんほかのクラスの子。
一般的に不良に部類されそうな人が多い中で、八巻くんは真面目で純朴そうな見た目の男の子だ。
どうしてこの場にいるのか不思議なくらい。
「おまえに任せた実行委員、こいつにやらせろ」
「えっ……」
言葉を失う八巻くん。
「ちょうどいい。困ってたんだ」
「で、でも、あれは……っ」
「やらかしたおまえに拒否権はない」
「っ、」
2人がなんの話をしているのかわからないけれど、とりあえず『実行委員』の響きだけで楽しそうと思ったわたしは浅はかなのかな。
顔を青くする八巻くんを見るかぎり、人前じゃ言えないやばいイベントの運営に携わる委員なのかも。
「今月、遠足がある。その実行委員をおまえがやれ」
えっ……。遠足……?
どんなぶっ飛んだ実行委員だろうと構えていたら、まさかの“遠足”?
遠足って、リュック背負って山のぼって頂でお弁当を食べる……アレ?