クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
学校をやめるくらいなら「総長やります!」って宣言しちゃったけど、正直に言えば、ずっと不安がつきまとってる。
みんなが憧れるその立場に、なんの憧れも持たないわたしがなっていいのかな?
特別扱いされたくないって、一度は逃げたわたしなんかが……。
「やりたくないんだったらやらなきゃいい」
「え?」
うつむきかけていた視線。となりから言葉が届いて、顔を上げる。
「あのジジイが今さらメンツを気にするとは思えないし」
斑が言う『ジジイ』とは、わたしのおじいちゃんのこと。
おじいちゃん相手に『ジジイ』と呼べるのは、ほかの組の組長さんたちを除けばきっと斑だけだろう。
「そうだね。おじいちゃんは気にしない」
わたしは、そこでいったん言葉を切った。
おじいちゃんは器の大きな人だ。
厳しいところもあるけれど、組員でもないわたしの言動ひとつでメンツがどうこう言うような人じゃない。
それは百も承知で言葉を続ける。
「でも、わたしが気にする」
おじいちゃんがどうこうじゃない。わたしがイヤなんだ。