クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

わたしの言動ひとつでおじいちゃんの迷惑になるなら、それは避けたい。

わたしのせいで西ヶ浜組のイメージが堕ちるようなことがあってはならない。


だから、総長になる選択肢を取った。



「ジジイに似てんな」


斑がぽつりとつぶやくように言った。


……似てる?


「自分はなに言われようが構わないけど、人のためなら自己を犠牲にするところ。ジジイにそっくり」

「わたしが?……そうかな?」


「まぁそれがわかってたから、総長のこと言わなかったんだけど。教えたところで、どうせジジイの名前出されて言いくるめられると思ったから」


……言い返す言葉もございません。

実際そうなっちゃったし。


仮に斑から事前に話を聞いていたとして、変わったのは佐紺先輩に説明させずに済んだだろうってことくらい。


向こうがおじいちゃんという切り札を持っているかぎり、わたしはどうしたって言いくるめられたと思う。

……情けないけど。


< 64 / 217 >

この作品をシェア

pagetop