クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

だけど、なぜか八巻くんは不思議そうに首をかしげた。


「そうでしょうか?……西ヶ浜さんは、組長さんの面目を気にしてるんですよね?」

「うん……」

「それならむしろ、組長さんの力を借りて誇示したほうがいいと思うんですけど」


「っ!」


……盲点だった。

認めてもらうことばかりに気を取られていたけど、そもそもなんでわたしは総長をやると言ったんだっけ?


──おじいちゃんの面目を守るためだ。


おじいちゃんに頼っちゃいけないって勝手に思いこんでた。


けれど、面目を気にしているならむしろ、おじいちゃんはすごいんだって知らしめるために頼ったほうがいい……?


「ってごめんなさい、偉そうなこと言って」

「ううん、ありがとう。考えてみるね」



……

…………

………………



「誇示か。たしかにその友だちの言い分も間違っちゃいないな」


おじいちゃんが唸る。


「よし、それなら俺に任せろ」


なにかを思いついたのか、居間を飛びだしていった。

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