クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

開かれたノート。遠足委員チームでの会議の記録が残っている。


手が暇になってところどころにらくがきが残っているけれど、わたしなりに真面目に記録したつもり。


山、川、公園、工場見学。出せるだけ出したアイデアの結晶がつまっている。


1年生にとっては初めての学校行事。どうせなら見学するよりも体験できるもののほうがいいかな。


たとえば学年関係なく楽しめるような……。



「いてっ、」


目の前のノートに意識がトリップしていたわたし。


不意に髪を引っぱられる痛みを感じて、意識を現実世界に戻す。


痛みといっても大したものじゃなくて。

触られた、とはっきりわかる程度の感覚。


見ると、斑がわたしの髪を握っていた。


ゴミがついてるから取ってあげる、なんてものじゃなくて、がっつり握られてる。


まるで男児が好きな子の気を引きたくてちょっかいをかけるように。


「え、なに?」

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