初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
「その、彼女の息子である貴糸くんが新社長に着任するんだけど、君を自分専属の秘書にと望んでいるんだ」
「ちょ、ちょっと待って! 菖子さんじゃないんですか!? それに、なんであたしが」
「樹理。言葉遣い」
ここは職場だと厳しい顔で叱る父の前で、樹理は慌てて言葉を直す。
「お待ちください社長、このような役目は秘書課の上位の者が担われるのが適任かと……!?」
焦り出す樹理の背後で扉がバタンとひらく。
その音に驚きながら顔を向けた樹理は絶句する。
「う、そ」
「そんなに俺の秘書になるのがイヤか? ジュリちゃんよ」
見慣れないネイビースーツ姿の、見知った男性がいた。若々しい出で立ちでありながら、威厳と品格を併せ持つ彼の姿に、樹理は言葉を噤む。
中小企業の一般秘書ではとうてい太刀打ちのできない大企業の御曹司で、樹理のふたつ年上の幼馴染みで、初恋の相手――雲野貴糸。
「……キート」
「久しぶりだな。俺がお前の親父さんの会社の次期社長になるなんて想像もしてなかったみたいだな」
「だ、だって」