初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
猛禽類のような鋭い瞳が樹理を射抜く。地元の公立小中学校に通っていたときから変わらない、目つきの悪さ。
それに、背が伸びたからか、肩幅がおおきくなったからか、着こなすのが難しそうな濃紺のスーツを遜色なく着ているからか、さらに男臭さ――いや、ワイルドな感じが増したように思える。学生服姿の彼しか知らなかった樹理は、スーツ姿で自分の前に現れた幼馴染みを前に思わず見惚れていた。
そんな樹理を見て、貴糸はにやりと笑う。獲物を仕留めようとする獣のように。
「社長。申し訳ありませんが今夜は彼女をお借りしてもよろしいでしょうか」
「ああ、構わないよ。役員たちには僕の方から伝えておく」
「え、お父さん!?」
紹介したい相手って彼のことだったの? と目配せすれば、満面の笑みで父は手を振って樹理を追い出す。
気まずいだろうに、貴糸は樹理の手を引いてそのまま社長室から彼女を奪っていく。
「ちょ、ちょっとキート」
「お前のその呼び方も懐かしいな。まずはふたりで乾杯と行こうじゃないか」
「乾杯……?」
首を傾げる樹理に、貴糸があははと豪快に笑う。