初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる

 だから婚約破棄を言い渡された樹理(当時高校一年生)は「ツムグくんよりキートの方がすきだもん!」と捨て台詞を吐いたのだ。まさか本人に伝えられていたとは思いもよらず。

「負け惜しみじゃないもん、ツムグくんは優しくて王子さまみたいだったけど、あたいだけの王子さまにはならなかった……だけどキートは」
「俺?」

 ふと横を見ると、いまにも意識を飛ばしそうな樹理。
 彼女によく似合う軽やかなグレイベージュのスーツ姿もすでによろよろになっていた。

「ジュリちゃん、こんなところで寝るなよ」
「寝てましぇ……ん」
「こら、襲うぞ」
「ふぇ?」

 貴糸の声に応えようと樹理が顔を向けると、待っていたかのように彼の手が彼女の顎をくいっと持ち上げる。
 そのまま――貴糸は初恋の女性の唇を奪う。
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