初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる

   * * *


 総合商社雲野コーポレーションは幅広い産業分野を取り扱っている。不動産業、物流としてのサービス業、コンビニエンスストアの出資に総合販売など、とにかくなんでも商材となるものを国内外へ卸している。樹理の父、樹が社長をしている株式会社トミツリイはその取引仲介先のひとつだ。
 なんでも樹の父親世代から雲野コーポレーションの社長と懇意にしていたらしく、気に入られた樹が女だったら先代が嫁に迎えたいという逸話まで残っている。さすがにそれはできないからと、樹が結婚して子が生まれたら孫と結婚させたらいいという思いつきで、雲野紡と冨居樹理の婚約が決められてしまったのだ。
 なお、貴糸は妾の子だからと先代からはいないものとして扱われていたため、紡が樹理の婚約者として充てがわれたのである。

「酔った足でホテルに素直に入るなんて、警戒心なさすぎでしょ」
「んっ……はぁ、ぁん」
「まぁ、これから襲おうとしている俺が言うことでもねぇか」
「おそ、う、の?」
「イヤならやめるよ」
「ううん……つづけて」
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