死グナル/連作SFホラー
連鎖⓶
ケータイショップ店員:清島眞琴の場合




”そのお客さん”は、20代半ばのごく普通な若い男性だった…。


「…あのう、そのケータイ番号控えといてください。いや、ナンパとかそんなことじゃ全然ないんで。…もし、いつか自分の顔…、いや、今日会ったこと思いだすような時が来たら、連絡してくれれば…。ああ、何もなければこれっきりで終わりですから」


「…」


まあ、私には意味不明だった。
トーゼン。
この時は…、ってことになるけど…。


***


ただ、その人の話し方を注意深く見てて、変な下心とかは伝わらなかった。
なんとなくだが。
で…、言われた通り控えは取っておくことにね…。


浅原聖…、080-××××…


そして、このケータイ番号に発信する時期は割と早くやってきた訳で…。


***


”それ”は、突然、それこそ何のきなしにだったわ。
瞼の下に浮かんだ”それ”は、人の顔…。


その顔…、一言で表せばフツーじゃなかった。
カンペキに。


それはそれは…、何とも恐ろしいというかおぞましい表情…。
生まれてこのかた、あんなもん、目にしたこと無論なし。


正確にはイメージなんだろうけど、かなりはっきりと写った訳。
この目に…。


死んでる人が目を開いて、違うとこで”生きてる”顔がよ!


***


で…、その死んでるその顔が”あの人”のだった。
もち、店で会った時とは全然違ったわよ。
でも、浅原聖に間違いなかった。


それはすぐにわかったわ、なぜか…。
要は、浅原さんが死んだとき、あるいは死んだ以降…、その時点でのあの人の顔なのよ!


ということは…。
もう、死んじゃってるの?
この人…。


私はメチャクチャ怖くて全身鳥肌だったけど、それ以上に頭が混乱してたかな。
何しろ、電話だ!


私はソッコーで浅原さんにケータイ発信したわよ。





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