死グナル/連作SFホラー
閉じれない瞼③
農協職員:川口菜々の場合
Hさんというその女性霊能者の方は、やはりり50代半ばで、普段は介護ヘルパーさんらしく、とても気さくな感じで、正直ホッとしました。
「…Fさんとは旧友でねえ。今日は用事があってこられなかったけど、あなたのことはあらかた伺ってますので…。今日はまあ、気を楽に話して下さいね」
「はい…。ひとつよろしくお願いいたします」
日当たりの良い和室の、テーブルを挟んで私の正面に座ったHさんは、早速メモとボールペンを片手に面談を開始してくれました。
***
「…そう。だいたいわかったわ。それで確認しておくけど、例の顔…、見覚えとか心当たりはないのね?」
「はい、ありません」
「それと、毎回同じなのよね?…その女の人ってことで。顔つきも大体は同じくらいの年代で現れる。そうなのね?」
「はい。同じ女の人です。微妙に毎回少し顔が違っては見えますが、30代くらいで、極端に年代が変わった顔ってことはないです」
ここでHさんはボールペンをテーブルに置き、ひと呼吸をおいて、私の顔を覗き込むように話を続けてくれました。
***
「実はね…、あなたとほぼ同様の現象に苦しんでる人から、数か月前、やはり人を介して相談を受けたんですけどね…。ああ、その方は40歳後半の男性で、出でくるのも男性…、老人ってことだったわ」
「…」
いきなり私と同様の体験者ってことで、私は少々驚きました。
でも、それなら、何か解決に向けたヒントのようなものが得られるかもしれない…。
そんな期待が頭をよぎったのは事実です。
ですが…。
***
「あのね、その人の目に写るのは知ってる人らしいんです。…もっとも、さほど親しい間がらではなく、仕事で何度か会った程度と言っていたわ。でも、現れる都度、年が極端に違うそうなの。それこそ10代のその人とかもある訳よ。でも、その人には違いないとはっきりわかるんだって。…あとは、川口さんと同じで、その顔が現れた前後、別になにも起こっていない…。もうかれこれ、5年くらい悩まされてるようよ」
「…」
私は言葉が出ませんでした。
一体それって…。
農協職員:川口菜々の場合
Hさんというその女性霊能者の方は、やはりり50代半ばで、普段は介護ヘルパーさんらしく、とても気さくな感じで、正直ホッとしました。
「…Fさんとは旧友でねえ。今日は用事があってこられなかったけど、あなたのことはあらかた伺ってますので…。今日はまあ、気を楽に話して下さいね」
「はい…。ひとつよろしくお願いいたします」
日当たりの良い和室の、テーブルを挟んで私の正面に座ったHさんは、早速メモとボールペンを片手に面談を開始してくれました。
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「…そう。だいたいわかったわ。それで確認しておくけど、例の顔…、見覚えとか心当たりはないのね?」
「はい、ありません」
「それと、毎回同じなのよね?…その女の人ってことで。顔つきも大体は同じくらいの年代で現れる。そうなのね?」
「はい。同じ女の人です。微妙に毎回少し顔が違っては見えますが、30代くらいで、極端に年代が変わった顔ってことはないです」
ここでHさんはボールペンをテーブルに置き、ひと呼吸をおいて、私の顔を覗き込むように話を続けてくれました。
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「実はね…、あなたとほぼ同様の現象に苦しんでる人から、数か月前、やはり人を介して相談を受けたんですけどね…。ああ、その方は40歳後半の男性で、出でくるのも男性…、老人ってことだったわ」
「…」
いきなり私と同様の体験者ってことで、私は少々驚きました。
でも、それなら、何か解決に向けたヒントのようなものが得られるかもしれない…。
そんな期待が頭をよぎったのは事実です。
ですが…。
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「あのね、その人の目に写るのは知ってる人らしいんです。…もっとも、さほど親しい間がらではなく、仕事で何度か会った程度と言っていたわ。でも、現れる都度、年が極端に違うそうなの。それこそ10代のその人とかもある訳よ。でも、その人には違いないとはっきりわかるんだって。…あとは、川口さんと同じで、その顔が現れた前後、別になにも起こっていない…。もうかれこれ、5年くらい悩まされてるようよ」
「…」
私は言葉が出ませんでした。
一体それって…。