死グナル/連作SFホラー
連鎖③
ケータイショップ店員:清島眞琴の場合



”プルルーン…×≒7回‥”


したら、出たのよ、浅原さん…。


「もしもし…、浅原ですけど‥」


「ええと、浅原聖さんですね?」


「はい、そうですが‥」


生きてたし…。


***


「私は先般のケータイショップの…、ああ、清島眞琴って名前なんですが…。あのう、そのう…」


私は珍しく言葉を激しく噛んでいた。
しゃべくり自慢な、さしもの私も、いきなり”あなたの死んでる顔が…”とは切りだせなくて。


それ、察してくれたようで、彼はズバリきた。


「この世の顔じゃない僕、見たんですね?」


「!!!」


私は瞬時で悟ったって!
この人、店で会った時に予測してたんだ。
自分の死んだ顔、私が見るって…。


私の全身には、鳥肌がこれでもかってくらい襲ってきてたわ。



***


「知ってたんですね、こうなることを…」


私は咄嗟にカレを試していたんだよね。


「まあ…、それは予想してましたよ。しかも、かなりの確率でって…」


「あの…、気を悪くしないでください。ええと、実際のところどっちなんですかね、私が見たのか、あなたが見せたのか…。つまり、あなたの死に顔はそちらの意図が働いて、私に届けたとか発したとか…。それとも、あなたはそれ、してないのか‥」


「後者だよ。間違いなく…」


「じゃあ、浅原さんが何か念じたとか、ないんですね?あなたは何もしなかった。それでもってってことなんですね?」


私はくどいように念押ししたわ。
何しろ、そこが一番肝心だったんで、まずは…。


***


「なにもしてない。それで間違いない。そこは信じて」


彼はキッパリだった。


「うん…、信じる。ふう‥、ここんとこをしっかり確認しないと、その先の聞きたいことに進めなかったから。くどく聞いてごめんなさい。でも、すごく安心した‥」


私はここ近年ないほど、心の中を素直に口にしてた。
ホント、そういうピュアな私、久しぶりだったし‥。


さて‥、そうとなれば…。
聞くこと、てんこ盛りだって。




< 3 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop