死グナル/連作SFホラー
連鎖④
ケータイショップ店員:清島眞琴の場合



「どうする?こっちから色々話してもいいが、君からの問いに一つずつ答えるかい?」


私はちょっと迷った。
うーん、ここは、最低限こっちから聞きたいな、やっぱ…。
その後でこの人には補足してもらえばね。


「先に、何点かは私から聞いてもいいですかね?」


「うん。じゃあ、まずはそうするか。で…?」


彼、まずもってのクエスチョンは予想済のようだった。
では…。


***


「あの顔…、私の感覚として絶対この世に生きてる浅原さんじゃなかった。まず、確認させて。私の瞼に写ったあなたの顔、死んでる顔だった。そうなのね、本当に?」


「そうだよ。君の瞼に訪れた僕、浅原聖が、あの世にいる顔さ。つまり、この世の理屈では、死んでる僕になるよ」


「でも、あなたは、たった今も生きてる。ああ、あくまでこの世の人間ってことよね、正確には‥」


なんか、すでに私も言葉を慎重に選んでいたのよね。


「まさしくおっしゃるとおりだよ、清島さん」


彼の答えは短く、端的だった。
おそらく、私の心理状態を推し量ってくれてのこと…。
ここでも素直にそう思えちゃった、私…。


***


「それならば、当然何故ってなりますよね。そこのところ…、どうなんですか?」


実際にそうは聞いてみたが…。


”それは自分にもわからないんだよ‥”


返ってくる言葉は、概ねこうなるんじゃってね。
そしたらよ…、違っちゃってた。


***


「まず、自分が死んだ後の顔の像は得てるんだよ。あの世に行った時のそれ…、限られた人にイメージとして共有してもらってる…。もうこれは成人になる前からだったから、そんな意識が宿ったのはね…」


「…」


私はスマホに向かってポカンと口開けてたよ。


「…だから、今までも初対面の人で、どこかであったような直感が巡って今回のように案の上ってのは、何回も経験してるんだ」


***


「でも、どうしてその人なのかってことになると、さすがにわからない。今回も清島さんを一目見て、たぶん…、って思えただけだから…」


彼は誠実に答えてくれてるんだろう…。
今までにも私の様な人とは、相手の気持ちを推し量っていろいろ接してきたと思うよ。
なんてったって、気が変になりそうなレベルだもん、これ。





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