私の彼氏は浮気をしている
『翠へ、メリークリスマス!これからもずっと一緒にいてください。聖司』

どうして、何故、そんな疑問が翠の頭の中を巡る。慌てて桃が用意したプレゼントを開けると、そこにはパステルカラーの可愛らしいマフラーが入っていた。どう見ても女性もののマフラーだ。ドクドクと心臓が音を立てる中、翠はメッセージカードを見る。

『翠へ、メリークリスマス!こんなにいい人、なかなかいないよ。大切にしてね、彼氏さんもこのマフラーも。桃』

力が抜け、翠の体は床に倒れる。ガタガタと体は震え、落ち着いたはずの呼吸は再び荒くなっていた。

二人は付き合ってなどいなかったのだ。翠にサプライズをするため、プレゼントを一緒に買い、飾り付けをするために翠を追い出したのだ。だが、真実に気付いても時間は巻き戻せない。

「私、私、とんでもないことを……!!」

聖なる夜、一軒の住宅に響いたのは、喜びの声ではなく泣き叫び懺悔する声だった。








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