私の彼氏は浮気をしている
聖司の顔はかなり整っており、ムードメーカーでクラスの中心にいる人物のため彼を好きな人は多い。おまけに一年生だというのにバスケ部のレギュラーに選ばれているのだ。翠とは真逆の人間だ。

一体何の用なんだ、翠が緊張を覚えていると聖司が頰を赤く染める。そしてゆっくりとその口が開いた。

「ーーー好きです、俺と付き合ってください」

それは、翠が人生で初めてされた告白だった。



人気者の聖司に告白されるなど、きっと罰ゲームか何かだと思い、胸がドキッと音を立てたものの、翠はしっかりと断った。

だがそれからというもの、これまでただのクラスメートというだけで話すこともほとんどなかったのだが、その日から聖司は翠に誰もいない時には話しかけてくるようになったのだ。

「深町さん、この本面白かったよ!俺のオススメ!深町さんはどんな本が好き?俺、読んでみたいな〜」

「深町さん、今日の数学のテスト難しかったね。俺、全然ダメな気がする」
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