私の彼氏は浮気をしている
「深町さん、甘いものって好き?駅前にパフェのおいしいカフェができたんだって。SNSの写真見たけど、すごくおいしそうだったよ!」

ニコニコと笑いながら翠に聖司は話しかけてくる。翠は本を読みながら、聖司の言葉に適当に返事をしていた。聖司の笑顔を、聖司の言葉を、信じることができなかったのだ。

(こんなイケメンが私に恋なんてあり得ない……。私が告白に頷いたら、馬鹿にするんでしょ。悪いけど、そっちの思い通りにはさせないから!)

心の奥底ではそんな思いを燃やしながら、翠は聖司の話をただ聞く。正面に座ってニコニコとしている聖司の前で、翠は無表情で俯いていた。

そんな日々が続いていたのだが、聖司に対する考えが一気に変わってしまった出来事が起こる。それは日曜日のこと、桃に誘われて翠は原宿に来ていた。桃に誘われたためだ。

「こんなにいい天気だし、一緒にお出かけしようよ!可愛いお洋服ほしい!」

朝、翠がご飯を食べているとそう桃に言われた。二人で出かけて楽しかった思い出はない。いつも桃だけが注目を浴び、翠は馬鹿にされるためだ。
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