二度目の好きをもらえますか?
 ついネガティブ思考を進めてしまい、それを吹き飛ばすため、頭を振る。机の中から教科書とノートを取り出し、一時間目の古典を用意した。


 *


「小谷ってさ。賢二の事好きだろ?」

「……へっ!?」

 グループのみんなと空き教室でお弁当を食べた後、何故か瀬川くんに呼び出された。

「ちょっと来て」と言われて付いて行くと、彼は空が剥き出しになった渡り廊下を抜けて、特別棟で足を止めた。

 誰もいない事を確認する彼を見て、まさか告白される訳じゃないよね、と無駄に緊張を募らせる。瀬川くんは前後左右に視線を走らせてから、改めて私を見た。

「小谷ってさ、賢二の事好きだろ?」

 そしてこう言われた次第である。

「……なな、なんっ??」

「いや、大体の奴は気付いてるよ」

「そそ、それって賢っ、」

「いや、本人は多分わかってないと思う」

「ああの、そ、それじゃあ」

「大丈夫、言わねぇって。ただ確認したかっただけ」

「……あ。そう、なんだ?」

 突然の事に焦りまくったけれど、本人に気持ちをバラされないと聞いて、私は大袈裟に安堵する。
< 115 / 193 >

この作品をシェア

pagetop