二度目の好きをもらえますか?
 私の恋、早くも終わった……。

 体がふらつき、廊下の壁に手をつくと、「小谷深刻だなぁ」と瀬川くんが無神経にケラケラ笑う。

「んでも、ホントのとこはどうか分かんないよ?」

「……え」

「賢二にさ、金曜の子、遠距離の彼女だろって聞いたら、もう別れたから彼女じゃないって言われたんだ」

「え、うんうん」

「でもわざわざ会いに来るなんて相当じゃね、って言ったら、事情があるとか言われて」

「うんうん」

「とりあえず今はそれ以上聞くなってバッサリ切られた」

 私はグウにして上げた両手をぶらりと下ろした。意気込んだ気持ちがたちまち萎んでいく。

「……そうなんだ」

 けれど廊下に付けた足元を見てから、あれ、と首を捻った。

「さっき言った三角関係っていうのは?」

「俺の作り話?」

 首を傾げながらおどけて言う彼に、私は鉄拳をお見舞いした。

「ブッ飛ばす、瀬川っ!」

「いや、いやいやいや! 悪い悪い、小谷の反応が面白くてつい」

「ついじゃないっ!」

 私がパンチしたお腹を押さえながら、瀬川くんはやはり笑っている。笑って誤魔化そうとしているのが見え見えだ。

「っあ、あれ賢二じゃね?」

「その手には乗らないよ」
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