二度目の好きをもらえますか?
 ネガティブな言い訳を並べ立てて、臆病な恋心を大事に大事に守っている。

 現状維持が心地いいからと、ぬるま湯に浸かったままで袋小路に追いやっている。

 それが私だ。

 その時、ピロン、と通知音が聞こえた。賢ちゃんの方からだ。

 彼はズボンのポケットに入れたスマホを確認し、ハァ、と大仰なため息を吐き出した。眉を潜めた横顔は、憂鬱を物語っていた。

 暫時、空を仰ぎ、そのまま踵を返して戻って行く。

「賢二ってやっぱモテるよな〜」

 瀬川くんがのんきに笑った。


 *


 来週に控えたテスト対策があったので、放課後は先生に質問してから帰宅した。

「ただいまー」

 玄関で靴を揃えてからリビングを横切ろうとすると、「あ。さっちゃん、お帰り。ちょっと来て」とお母さんに呼ばれた。

「なに?」

 いきなり何だろう?

 私はお母さんに手招きされて、ソファーの手前で足を止める。

「昨日お父さんと話し合ってね、やっぱり門限があった方が良いと思うの」

「は、門限?」

「そうよ。明るい時間帯だったら安心だけど、最近は夜暗くなってから出て行く事もあるでしょう? 女の子の一人歩きは危ないってニュースでもやってたし、さっちゃんもいつそんな目に遭うか分からないもの」

「……え。それで?」
< 120 / 193 >

この作品をシェア

pagetop