二度目の好きをもらえますか?
『そうしないって事は、瀬川が言ったように付き合ってないんだよ』

「……うん」

『で、それを彩月に言わないのは、何か他に言いたくない理由があるからだよ』

「……言いたくない、理由」

『うん』と麻衣子が肯定した。

 理由か、と考えたところで賢ちゃんの考えなど全く予想できない。

「それって何だと思う?」と試しに麻衣子に聞いてみるが、麻衣子はあっけらかんと言った。

『そんなの分かるわけないじゃん。分かるとしたら、大谷に詳しい彩月だけだよ』

「……うーん……」

 そんなに詳しいってわけでもないけど。

『彩月が想像したように三角関係ってセンもなくは無いけど……それだったら元カノが大谷に会いに来た時点で解消されてると思うんだよね』

 解消……。つまり、二人が両思いになってるという事だ。

 そうなったら嫌だけど、麻衣子の言う事には説得力があると思った。

 電話を切る間際になって麻衣子は言った。

『まだ諦めちゃ駄目だよ?』

「え」

『大谷の事』

「……あ。うん。分かった」

 私が賢ちゃんを諦めるのは、スッパリと振られた時だけだ。
< 128 / 193 >

この作品をシェア

pagetop