二度目の好きをもらえますか?
2.冷たくされるとムキになるんだよ。
教室で挨拶は交わすが、それ以外は大体無視の大谷くんは、明らかにキャラ変を目論んでいる。
彼は私に対してのみ、“小学生の頃とは違うんだぜ”を実践中らしく、不自然なほどに素っ気ない。
そしてその塩対応男子は、このところどうやら寝不足が続いているらしい。
あれから一日置きぐらいの頻度で、午後八時過ぎにバイクの音を聞いた。
やっぱり賢ちゃんだった。バイトで寝不足?
勝手な予測を立てて、尚も隣りであくびをもらす彼を、私は横目で捉えた。
授業中なのに大丈夫かなぁと内心ヒヤヒヤしながら、とうとう机に突っ伏してしまった彼を、どうか当たりませんようにと祈り、静かに見守っていた。
「次。37ページの5行目から……大谷くん!」
教卓に置いた英語の教科書を一瞥し、ミヤちゃん先生は銀縁メガネの奥から鋭い眼光を走らせた。
うーわ、当たっちゃったよ。
私はシャーペンの頭で彼の左腕をツンツンと突いた。
結構強く突いたので痛かったらしく、起きた彼に思い切り睨まれた。
“当たってる、37ページ、5行目から。読んで訳して”