二度目の好きをもらえますか?
「なんでって……、危ないからに決まってるでしょう? 事故が起こってからじゃ遅いのよ?」

「大丈夫だよっ、賢ちゃんがちゃんと気をつけてくれてる、」

「事故ってものは、気をつけていても起こるものなの! ましてやバイクなんて車と違って体が剥き出しだし、スピードだって上がるでしょう?? 遊園地で乗るジェットコースターとはわけが違うのよ??」

「分かってるよ、そんなの! 分かってて乗りたいの! 私から乗せて欲しいってお願いしたんだから!」

 お母さんは眉を寄せて、「さっちゃん」と呟き、口を噤んだ。顔をしかめたせいでおでこに深い縦じわができている。心配と不安の瞳で、私をどう説得するべきかを思案している。

「彩月は何にも分かってない。そんなのは口先だけだ」

 ワイシャツからネクタイを抜き、お父さんが重いため息を吐き出した。

「お父さんもお母さんも、バイクに乗るのは反対だ」

「お、父さん」

 いつも温厚でほとんど怒った事のないお父さんが、厳しい目つきで私を見ていた。
< 131 / 193 >

この作品をシェア

pagetop