二度目の好きをもらえますか?
「お父さんの知り合いにな、バイクで転けて植物状態になった息子さんがいる。もう三年経つそうだ。親御さんからは、とても真面目な子で、運転にも人一倍気を遣っていたと聞いた。それでも事故は起こった」

「……っ」

「彩月がもしそんな状態になったら、お父さんとお母さんは、一生賢二くんを恨んで生きていく事になる」

 ……そんな。

「だからな、彩月。分かって欲しい」

 お父さんの大きな手がポンと両肩に載せられる。けれど私は子供みたいに、いやいやと頭を振った。

「何もバイクに乗らなくても、賢二くんと仲良くする事はできるだろう?」

「いいえ、私は反対よ」

 お母さん……。

 不安に眉を寄せてお母さんを見ると、お母さんは目を釣り上げていた。

「お母さんは、バイクに乗るような子とは付き合ってほしくない」

「……なにそれ」

「お母さんはさっちゃんが心配なのよ、あなたは根が純粋で素直だから、賢二くんがこの先大変な事になったら、傷付いてたくさん泣かなきゃいけなくなる。そんなさっちゃんを見るのは耐えられないの!」

 私はお母さんを見ながら、冷静に考えていた。
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