二度目の好きをもらえますか?
 お母さんはいつもそうだ。心配、心配って。そう言っておけば、私を制御できると思ってる。

 小学生の頃、友達と一緒に木登りをした事がある。あの時も、女の子なんだからやめてちょうだい、と止められた。

 もし落ちて怪我をしたら大変な事になるから、と。「お母さんはさっちゃんの事が心配なのよ?」そう言って、困ったように目を細めた笑顔が、今さらになって思い出された。

「心配ってなに?」

 私は俯き、ぶらりと下ろした手をギュッと握りしめた。

「まだ起こってもないのに、あれもダメこれもダメって……私の意思は完全に無視??」

「……っさっちゃん、それは」

「私は賢ちゃんが好きなのっ! 賢ちゃんの彼女になりたいのっ!」

「……」

「心配するんだったら、私の恋の事も心配してよっ! お母さんのせいで、今日バイクには乗せないって言われたんだからっ!」

 お母さんに向かって怒鳴りつけ、私はリビングを飛び出した。

 ダンダン、と音を立てて階段を上がっていく。感情のままに部屋の扉を勢いよく閉めた。

 ふわふわの掛け布団をめくり、ベッドの中に潜り込むと次第に目頭が熱くなる。頬はあっという間にびしょ濡れになった。
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