二度目の好きをもらえますか？

　お母さんは一瞬だけ驚いたように目を瞬いた。けれどすぐにその目は細められて、嬉しそうに口角が上がる。

　お母さんの柔和な笑みを見ると、いつも心が軽くなる。

「ううん。お母さんも、行き過ぎた発言をして悪かったわ。あのあとお父さんと話し合って、反省したの。ごめんね、さっちゃん」

「……え、あ、うん」

「お父さんが言ったように、バイクに乗らないんなら……賢二くんと仲良くしてもいいから」

　私は唇をギュッと噛みしめて、「うん」と小さく頷いた。

　急いで朝ごはんを済ませて、いつもと同じ時間に靴を履く。

　ぼーっとしながら門扉を開けたので、完全に無防備状態だった。

「……おう」

　すぐそばで声がして、視線を斜め下に向ける。

「っうひゃあ！？」

　うちの門柱に背を預けて、まさかの賢ちゃんが座り込んでいた。私は大袈裟に飛び退いた。ガシャン、と音を立て、門扉に背中をぶつける。

「……。驚かすつもりはなかったんだけど」

　彼はスッと立ち上がり、小さく吹き出した。口元に右手の甲を当てて、クク、と笑っている。

「っああ！　ううん、大丈夫っ。お、おはようっ！」

　挙動不審に両手を振って、変なジェスチャーまでしてしまう。

「って言うか、どうしたの、急にっ」