二度目の好きをもらえますか?
「あんまり、見ないで? 不細工だからっ」

 (くし)()いて整えただけのボブヘアーがサラリと前に流れる。私は自分の黄色いスニーカーを見ていた。

 ザッ、ザッ、と足音が聞こえ、不意に頭の上がほんのりと温かくなった。

 ……っあ。

 賢ちゃんの手が頭に載せられていると理解して、ぶわっと顔の中心が熱くなる。

 賢ちゃんは私の頭をポンポンと撫でると、また踵を返した。

「……っあ、待って」

 せっかくだから一緒に登校したいと思って一歩を踏み出すが。

 ……っああ! もうっ、ヘルメット!!

 返されたそれを学校に持って行くわけにいかないので、慌てて家に引き返した。二階の部屋までダッシュして、再度玄関を飛び出す。

 門扉を開けてから全力疾走すると、交差点に差し掛かる手前で彼の後ろ姿に追い付いた。

「っ賢ちゃん、待って!」

 勢いを緩めて、私は彼の近くで足を止める。

「……な。なに走ってきてんだよ」

「だって……っ、まだ、話の途中だったからっ」

 片手を胸に当てて、ゼイゼイと鳴る息を整えた。

「昨日っ、確かに喧嘩したけど……もう大丈夫なの。朝、ちゃんと仲直りしたから」

「……そっか」
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