二度目の好きをもらえますか?
「うん。……それだけ言いたくて」

「ふぅん」

 賢ちゃんと並んで信号待ちをする。往来する車の群れを見ながら、何か楽しい会話はないかと頭を働かせるが、妙案が思いつかない。

 賢ちゃんに聞いてみたい事なら確かにあるけれど、大いなる躊躇からそれを言葉にできない。

 あのカオリさんって子とどうなっているのか、気になって仕方がない。

 瀬川くんや麻衣子との会話で想像を膨らませ、元カノで三角関係でもなくてと勝手に結論づけたが、本当のところはどうなんだろう?

 聞いたら……、まずい?

 今のせっかくの雰囲気を、ぶち壊しにする?

 瞳を右上にスライドさせて、賢ちゃんを盗み見た。彼は若干眉を寄せて、口を結んでいる。全く何を考えているのか分からない。

 信号が青に変わった。隣りに並んだ中学生は周囲の信号機から予測し、既に歩き出していた。

「お前さ、昨日の昼休み……光輝(こうき)と」

「……え。瀬川くん?」

 横断歩道を渡りきり、急に振られた会話に目を瞬く。

「あー……。いや」

 賢ちゃんは右手で頬を掻いた。

「何でもない」

 なんだろう?

 頭の中に疑問符が飛び交った。

「なにそれ、意味深!」

「うるせー」
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