二度目の好きをもらえますか?
 たわいない話をしながら、学校の正門を抜けて昇降口へ辿り着く。

 下駄箱を前にして上履きに履き替えていると、不意に隣りでピロン、と音が鳴った。

 ラインだ。

 すぐさまそう思うけれど、私は素知らぬ顔をする。ポケットからスマホを出した彼が、顔をしかめてため息をついた。

 ポップアップ通知を見るだけで内容が分かるのだろう。若干怒っているようだ。

「どうしたの?」

「あ、いや。なんでも……」

 できるだけ自然体で尋ねるが、賢ちゃんはいつになく動揺してスマホを閉じた。

 階段に足を掛け、「賢ちゃんさぁ」と話し掛けてみる。

「最近、ライン見てため息つく事多いよね?」

「……」

「何か……困った事でもあるの?」

 下から賢ちゃんの顔を覗き込んだ時、少しだけ目が合った。彼は曖昧に唇を開けて、何かを言おうとする。

 が、結局は無言で眉を寄せるだけで、何も発しない。

「私で良ければ相談ぐらい乗るしさ……。何かあったら言ってね?」

「……ああ」

 先に教室に入って行く彼の背中を見て、言い知れぬ寂しさを覚えた。


 *

「なるほどねぇ」
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