二度目の好きをもらえますか?
 梅雨の最中なので、言うまでもなく雨が叩きつける夜もあった。

 平日なら夜に出て、日付が変わる頃に帰って来る。土日は朝の十時ごろに出掛けて、夕方に帰って来ていた。

 やっぱりバイトだろうか、と考えをめぐらせ、確信を得られない事に次第に苛立ちを覚えるようになっていた。

 火曜日の夜。午後八時十分を確認してから玄関で靴を履いた。

 お母さんはちょうど夕飯の後片付けをしているし、お父さんはテレビに夢中だ。

 空は不安定な曇り空だが、ありがたい事に雨は降っていない。

 門扉を開けて外へ出ると、同じタイミングで駐車場からバイクを出した彼と目が合った。

 大谷くんだ。

「こんな時間にいつもどこ行ってるの?」

 大谷くんは既に被っていたヘルメットの目の部分を下げて、無視を決め込んだ。

 予想通りだが、イラッとした。

 そのままスタートしようとするので、阻止するため、私は駆け足で彼の前へと回り込んだ。

「オイッ! あぶねーだろ!?」

 若干、焦りの滲んだ声に私は再度尋ねた。

「ねぇ、どこ行くの? いつもエンジン音うるさいし、普通に気になるんだけど」
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