二度目の好きをもらえますか?
お母さんに悪いなと思いつつ、箪笥の引き出しからデニムのパンツとお気に入りのチュニックを引っ張り出して、もう一度着替えた。
プライベート用のリュックに数学の教科書や筆箱を詰めて、スマホで素早くメッセージを送る。
【今から行くね】
玄関で別の靴を履いた時、お母さんの声に呼ばれた。
「さっちゃん? また出掛けるの?」
こんな雨なのに、と続け、お母さんは眉根を寄せる。
「賢ちゃんと勉強の約束したから」
「……あら。そうなのね」
六時半までには帰るのよ、と言って、お母さんが優しく送り出してくれる。
玄関の戸を開けると、灰色の空は無数の雨粒を使って未だに屋根やコンクリートを濡らしていた。
大きな雨雲の固まりに一瞥をくれ、私はピンク色の傘を差す。
「門開けて、そのまま入って来て」
賢ちゃんが玄関の戸を開けて、顔を覗かせた。彼もすっかり私服姿だ。ざっくりと開いたV字のカットソーが、たまらなく似合っていてカッコいい。
できるだけ雰囲気を和ませようと思い、三和土で靴を脱いだ時、「賢ちゃん、私オレンジジュースね?」とわざと催促してみる。
プライベート用のリュックに数学の教科書や筆箱を詰めて、スマホで素早くメッセージを送る。
【今から行くね】
玄関で別の靴を履いた時、お母さんの声に呼ばれた。
「さっちゃん? また出掛けるの?」
こんな雨なのに、と続け、お母さんは眉根を寄せる。
「賢ちゃんと勉強の約束したから」
「……あら。そうなのね」
六時半までには帰るのよ、と言って、お母さんが優しく送り出してくれる。
玄関の戸を開けると、灰色の空は無数の雨粒を使って未だに屋根やコンクリートを濡らしていた。
大きな雨雲の固まりに一瞥をくれ、私はピンク色の傘を差す。
「門開けて、そのまま入って来て」
賢ちゃんが玄関の戸を開けて、顔を覗かせた。彼もすっかり私服姿だ。ざっくりと開いたV字のカットソーが、たまらなく似合っていてカッコいい。
できるだけ雰囲気を和ませようと思い、三和土で靴を脱いだ時、「賢ちゃん、私オレンジジュースね?」とわざと催促してみる。