二度目の好きをもらえますか?
「ねぇよ」

「じゃあリンゴジュース」

「だから、ねぇって」

「じゃあ何ならあるのさ?」

「……お茶、牛乳、コーヒー」

「じゃあロイヤルミルクティーで!」

「オッケー、カフェオレな!」

 全く噛み合っていない会話に、ふふっ、と笑いがもれる。

 夏休みに一度入った事のあるリビングに通され、前と同じソファーに座った。

 手前のローテーブルに持って来た教科書を並べると、ピロン、とすぐそばで通知音が鳴る。

 見ると賢ちゃんのスマホが同じ机上に置かれていて、ついポップアップ通知を読んでしまった。差出人は"花織"となっていた。

 心臓がドクンと波打った。


【今から電車に飛び込んで死ぬから】


「っ、け、賢ちゃん! これっ!!」

 奥のキッチンカウンターで電気ポットと二つのマグカップを用意する彼に、私は慌てて彼の携帯を渡した。

 賢ちゃんは画面を見た途端、頬を強張らせた。ギュッと眉根を寄せて、花織さんのメッセージから目を逸らす。

「こんなの、ホントに死ぬわけ」

「多分すぐそこの最寄駅だよね?!」

「……え」

 私は焦って玄関に向かった。
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