二度目の好きをもらえますか?
14.雨降って地固まるってやつだろうか?
駅構内に入る間際に大きな水溜りができていて、跳んで回避する。
傘を持っているにもかかわらず、頭や肩、体の前面を大きく濡らしてしまい、駅に着いた私と賢ちゃんは奇異の視線に晒された。
前髪から滴る水滴を手で拭い、まずはどうやって改札に入ろうかと考えた。足を止めると焦りが増した。
ドンドンと拍動が強くなり、呼吸が乱れた。
賢ちゃんが斜め掛けしたボディーバッグから財布を取り出し、自動券売機に向かう。ひと駅分の切符を二枚買い、私の分も差し出してくれる。それを突っ込んで改札を通り抜けた。
私は目の前に掲げられた電光掲示板に目を留め、賢ちゃんの様子を窺った。
六つあるホームのうち、どの線へ向かうのが正解か分からない。賢ちゃんが下り線の三番ホームを選んだので、私もあとに続いた。
階段を二段飛ばしで駆け上がる彼を、一段飛ばしで追い掛ける。
賢ちゃんはホームに上がってから周囲を見渡した。
「花織っ!」と彼女を呼ぶ声が鼓膜を打った。
私もようやく階段を上り切り、彼の視線の先へ目を走らせた。
っあ!
向かいのホームだ!
私たちが目指す彼女は、同じ下り線の一番ホームに立っていた。